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守護霊のすべて

第3話 前編
神仏の使いとされる神獣、霊獣に関する霊夢

日本では白狐や白蛇、中国起源のものであれば龍や鳳凰(ほうおう)、麒麟(きりん)、また西洋ではユニコーンやぺガサス、フェニックスなど伝説上の幻獣の中には特定の神様の使いとされていたり、瑞祥のシンボルとなっていたりする存在が数多くあります。今回はそうした霊獣、神獣が登場する霊夢には果たしてどんなメッセージが秘められているのかを解説してまいります。
凡例や個別の実例などを含めてご紹介する記事が多岐にわたるため、できるだけ読みやすくとの配慮から3部構成にさせていただきました。

特定の神社仏閣で神使(しんし)、眷属(けんぞく)とされている動物が夢に現れた場合、神霊界の尊い存在が関与した霊夢であることが多いようです。例えば稲荷神の使いは狐、弁才天なら蛇、三峯神社系であれば狼や犬がそれに当たります。いずれも神や御仏から託された何らかのメッセージを携えて夢という形で現れたと解釈し、多くは託宣夢 (たくせんむ:神仏が眷属を通して神託を与える夢) というカテゴリーに分類されます。
前回取り上げた神仏そのものが夢に出るケースに比べると、高位の世界からのコンタクト方法が間接的であるように感じられますが、逆に霊夢としてのリアリティはこちらの方が上であると考えられます。
神仏の住まう神霊界と肉体を持った人間の世界との間には気が遠くなるような次元差が存在しているため、例え夢の中であろうとも直接交流することはできません。そこであちらは分身の投影という形を取り、幾重にも次元を落として物質界へ現れるわけですが、それですら非常に稀な現象で、歴史に名を残すような大宗教家や預言者でもなければ神仏の分身との邂逅を果たすことはまずないと断言できます。私たち一般人の霊夢に現れる神仏というのは、こうした真の分身ですらなく、ほんの僅かに本来の波動を宿した幻覚的な存在に過ぎないのです。
一方、神使や眷属と呼ばれる存在は神霊界と物質界の中間的な世界に存在しており、上 (神霊界) の事情もある程度分かるし、下 (人間世界) に対しても働きかけができる立場にいます。ですから神仏が自らの意志を下方へ反映させようとする際には通常、彼らを動かすことになります。従ってそうした使いが関与してくるということは、とりもなおさず神仏側からの積極的な働きかけを示唆しているわけです。
さらにもし夢に出現した存在が日本古来の神話伝統からは外れる神獣、霊獣であった場合でも、ケースバイケースで同様に考えることがあります。神使、眷属を用いるのは我が国の神々だけの特権ではありませんし、御仏や護法神でさえも元々は異国の発祥です。その事実を踏まえるならば、世界各地で信仰されている様々な神格やそれに近い高位の精霊、自然霊などが自らの眷属に当たる幻獣や動物を使役して、私たち日本人に働きかけてくる可能性もあるということです。
以下、今回のイントロダクションとして神使、眷属と呼ばれる者たちの属性と概略を記しておきます。

霊夢に出現しやすいとされる神獣、霊獣 (神仏の眷属) の一覧
[龍]
天津神、国津神、御仏や護法神など様々な神仏の使いとして夢に現れ、縁のある人間へのメッセージを運ぶ。あるいは別存在の代理としてではなく、自然界の龍神自体が出現することもある。神獣霊獣の中では狐と並んで日本人に最も馴染み深い存在であるものの、夢に見たという証言は案外と少ない。目に見える世界には存在しない動物なので、その像の細部まで思い描けないため、単なる印象夢や想像夢には出現しにくいことが原因と思われる。従ってもし龍の夢を見たとすれば、そのことだけで霊夢としての信憑性が高まる。

[大天狗やカラス天狗]
天狗は修験道の世界と非常に縁の深い存在なので、その系列の信仰や神仏の代理として夢に出現することがある。これまでの鑑定実例に照らし合わせると、修験道に代表される山岳信仰につながる家系の者は比較的、天狗の夢を見やすい傾向がある。

[3本足のカラス]
一般的な夢判断ではカラスは凶兆や不幸の象徴とされるが、霊夢として解釈する場合には逆に吉祥のシンボルとして受け取られることが多い。とくに金色に輝く3本足のカラスは我が国の創世神話に登場する造化三神 (ぞうかさんしん) のうちの一柱である高皇産霊尊 (たかみむすびのかみ) の使いとして知られ、古事記の神武東征のくだりにも八咫烏(やたがらす)という名で登場する。

[金色の鴟(とび)]
上記のカラスと同様に神武東征を導き助けた神鳥。もし夢の中に現れれば、天照大神に代表される天津神系統の神様の使いであると考えられる。

[金色の鶏]
夜明けを告げる鳥であることから古来、太陽神の眷属とされてきた。古事記にある天岩戸開きの際、天鈿女命 (あめのうずめのみこと) の神舞とともに常世の長鳴き鳥 (とこよのながなきどり) の鳴き声につられて、天照大神が岩屋から出てきた話はあまりにも有名。もし夢に現れた鶏の全身が金色に光り輝いていれば、神の使いである可能性はさらに高まる。

[白蛇や金蛇、銀蛇、もしくは神々しく厳かな雰囲気を発する蛇体]
主に弁才天や水神系の神々の使いとして働く。また、有史以前には動物としての蛇自体が神として崇められていた形跡もあり、その時期の遺跡からは蛇の女神を象った土偶などが発掘されている。一部の国津神 (大国主神や建御名方神など) が蛇体に化身するという伝説や伝承も、こうした古代の蛇信仰から派生したものであると考えられる。

※注) このコーナーの第1回では蛇の霊夢を取り扱いましたが、ここで取り上げているのは神仏の使いとしての蛇です。両者の前提が異なる分、記述にも若干の矛盾がありますが、その辺は適宜に勘案 してお読みいただきたいと思います。

[白狐や金狐、銀狐、尾が分かれた大きな狐など]
眷属と呼ばれる獣の代表的存在。主に稲荷神、荼吉尼天 (だきにてん)、飯綱権現 (いずなごんげん) などの使いとして働く。霊能鑑定の場においても狐が関わる相談は多く、大半は狐憑きなどのネガティブな現象であるが、その中には神使としての狐霊と遭遇した体験も混在している。

[白いネズミ]
古来、ネズミは多産の象徴であり、とくに大黒天と大国主神 (神仏習合により同一神とされる) の使いとされてきた。もし、全身が白いネズミであれば霊夢の可能性が高まる。

[特定の神仏や神社仏閣と縁の深い動物]
狐・・・・・稲荷社、荼吉尼天を祀る寺社祠堂、飯縄権現などで神使とされる。

蛇・・・・・弁才天を本尊とする寺社祠堂、大神神社(祭神の大物主神自体が蛇体であるとされる)、水神社など。

猿・・・・・日吉大社、山王権現、浅間神社など。

カラス・・・・・熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)、厳島神社など。

鶏・・・・・伊勢神宮、熱田神宮、石上神宮など
主祭神別では天照大神、布都御魂 (ふつのみたま)、天鈿女命(あめのうずめのみこと) 。国譲り神話や天孫降臨神話において天津神側として活躍した神々を祀る神社に多い

金色の鳩・・・・・八幡神社
豊前国に鎮座する総本宮の宇佐八幡宮から鎌倉の石清水八幡宮へ祭神を勧請した際、金色の鳩がそれを先導したという故事にちなむ。なお、八幡社は源氏の守護神としても有名。平家が滅亡した壇ノ浦の戦いでは、船上に現れた2羽の鳩が源義経に勝利を告げたという伝説もある。

狼、山犬・・・・・三峯社、御嶽社など
三峯社の眷属である神犬は野狐やクダギツネ、狸精といった狐狸に類する悪霊の天敵としても知られており、狐憑きを祓う際にもこれを勧請する術者は多い。これと同じ意味合いで、三峯社と稲荷社の神札を同じ神棚に祀るのは禁忌とされている。

白蛇、鶴、ナマズ……諏訪大社、および全国の諏訪社
諏訪大神である建御名方神 (たけみなかたのかみ)は白蛇に化身するという伝承が残る。また、国譲り神話の中でこの神が建御雷神 (たけみかづちのかみ) との力比べに負けて諏訪湖へ追われた際、ナマズに助けられたという伝説に基づき、諏訪社が建つ一部地域ではナマズを食べることを禁忌としている。鶴が眷属となった由来については不明。

ネズミ・・・・・大黒天を本尊とする寺社祠堂、およぴその垂迹神とされる大国主神を主祭神とする一部の神社。

ムカデ・・・・・毘沙門天を本尊とする寺社祠堂、および赤城神社
護法神の筆頭として知られる毘沙門天には鉱山神としての側面があり、ムカデもまた古くから鉱山の守護神とされてきた。またその昔、赤城神社の神が大ムカデに化身し、二荒山神社の神と戦ったという伝承も残る。

白い牛・・・・・天満宮
祭神の菅原道真公が干支の丑と縁の深い人生を送ったという故事に拠る。

亀と鯉・・・・・松尾大社
大山咋神 (おおやまぐいのかみ) と市杵島姫命 (いちきしまひめのみこと) の二柱を祀る同社は酒造りの神として有名。その昔、松尾大神 (大山咋神) が亀と鯉の背に乗って川をさかのぼり、山城丹波国 (京都) にたどり着いたという創建神話に基づく。

ウサギ・・・・・住吉大社 大社に祀られているのは底筒男命(そこつつのおのみこと)、中筒男命(なかつつのおのみこと)、表筒男命(うわつつのおのみこと)の住吉三神 (すみよしさんじん)および神功皇后(じんぐうこうごう)の四柱。祭神であると同時にその創建者でもある神功皇后がこの地に神を勧請したのが辛卯年、卯月の卯日であったという伝説に拠る。

セグロウミヘビ・・・・・出雲大社 旧暦十月の神在月(かみありづき)に出雲国、稲佐の浜 (いなさのはま) に漂着したセグロウミヘビを、神迎祭(かみむかえさい)のために来迎した大己貴命(おおなむちのみこと、大国主神の別名)の化身「龍蛇様」として大社に奉納する風習がある。

鹿・・・・・春日大社、鹿島神宮
いずれも主祭神は国譲り神話で有名な建御雷神。この神は茨城の鹿島神宮から奈良の春日大社まではるばる神鹿の背に乗ってやって来た、という伝承に基づく。

[白犬、白狼、白鹿、白鷹、白猿、白馬、白牛、白獅子など体毛が純白の獣全般]
白色は白光すなわち太陽の光の象徴であることから古来、天上界の尊い存在を表す色とされている。従って、もし夢に現れた動物が輝くような純白に包まれていれば、神、御仏、あるいは高位の神霊の使いとして夢に現れた可能性が高まる。その際には具体的にどのような神仏の眷属なのかを慎重に見極める姿勢も大切。
前項に列記したように犬や狼であれば三峯社系統、また猿ならば日吉社や山王社に祀られる大山咋神 (おおやまくいのかみ) の使いであるなど、寺社とその定番の神使との相関性からおおよその見当がつくので、後でお告げの内容を類推する際にも役立つ。ただ実際には眷属としてあまり知られていない、身体色も多彩な動物が神使の役目を負うこともあるので、種類と色だけでは判断が難しいケースも存在する。

[麒麟、鳳凰、ペガサス、一角獣、フェニックス、スフィンクスなど日本の宗教文化と馴染みの薄い神獣や霊獣]
アジア大陸や西洋文化圏では神の使いとされているが、我が国では馴染みの薄い動物や幻獣、例えば麒麟や一角獣、ライオンなどが夢に現れる場合には、その霊的意味合いを探るよりも先に、深層心理学をベースにした一般的な夢判断に解釈を委ねるのが無難。しかし、時には本当に異国の神霊から発せられたメッセージが混入していることもあり、一概に霊夢ではないと言い切ることもできない。
とくに最近は国際結婚や海外移住、長期海外旅行などの増加に伴って、本来はレアケースであったこの手の霊夢を見る人が増えている。直近の鑑定事例でも、インド人との結婚を機にナーガ神の顕現身とされるコブラから神託を降ろされた日本人女性や、中南米の現地法人への赴任中、テスカトリポカと呼ばれるアステカの神がジャガーに化身する夢を見たビジネスマンがいた。後者の男性はこの夢を見た直後、左遷の身から脱して本社へ呼び戻された。